最新記事

日韓関係

サムスンのイ・ジェヨン副会長も緊急来日 日韓企業、半導体材料規制の「迂回」を模索

2019年7月10日(水)12時00分

日本政府による半導体製造材料の韓国向け輸出規制強化を受けて、韓国の半導体メーカーと日本の化学材料メーカーが対応に奔走している。写真は韓国の港湾都市平沢 の半導体工場で2008年3月撮影(2019年 ロイター/Lee Jae-Won)

日本政府による半導体製造材料の韓国向け輸出規制強化を受けて、韓国の半導体メーカーと日本の化学材料メーカーが対応に奔走している。ただ、規制対象の化学材料は日本メーカーのシェアが極めて高く、製品の確保は容易ではない。

日本政府は先週、半導体製造に使われる「レジスト」、「フッ化水素」、「フッ化ポリイミド」の3品目について、韓国に輸出する企業に与えていた優遇的な許可を取りやめ、個別の取引ごとに審査して輸出の可否を判断すると発表した。審査には90日程度かかる。

韓国の半導体業界団体の幹部によると、サムスン電子とSKハイニックスは規制対象の3品目について台湾や中国などの国からの購入を増やそうとしており、十分な在庫を持つ日本以外の国の企業にも購入を打診している。

SK証券のアナリストのKim Young-woo氏によると、韓国の半導体メーカーは在庫を確保するため、既に日本以外のサプライヤーが経営する工場や合弁会社にセールス部隊を派遣したという。

サムスン電子は日本の規制強化による影響を最小限に食い止めるためさまざまな対策を検討していると説明。同社の幹部によると、副会長の李在鎔氏が7日に東京を訪れた。

SKハイニックスはコメントを避けた。

日本の輸出審査に実際どの程度の期間を要するのか、規制強化が輸出禁止に切り替わるのかなどは依然不透明だが、韓国の半導体メーカーは今回の問題が全面的な危機に発展するのを危惧している。

韓国半導体メーカーの関係者は「規制対象の3品目は、ほかでは見つけることも、すぐに買うこともできない」と述べた。「日本以外で代替的な製品が見つかっても、高い歩留りを上げるのに十分な品質なのかを確認するためにテストする必要がある」という。

また3品目のうちフッ化水素は非常に毒性が高く、レジストは劣化が速いため、いずれも在庫の積み増しは実際的な選択肢ではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中