最新記事

金融

「1万円から資産運用」ロボアドバイザーは貯金感覚で広がるか

2017年8月25日(金)18時50分
猪澤顕明(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

ロボアドバイザーは顧客に合ったポートフォリオを自動で組んでくれる(写真:お金のデザイン)

プログラムが自動で資産運用をしてくれる「ロボアドバイザー」のビジネスが盛り上がっている。「ロボアド元年」ともいわれた2016年から1年あまりで、早くも業界の勢力図が大きく動きつつある。

矢継ぎ早に新戦略を打ち出しているのが、2014年に国内で初めてロボアド事業を始めたベンチャー、「お金のデザイン」だ。6月8日にSBI証券、住信SBI銀行と業務提携。7月26日からは、これら2社経由で自社のロボアドサービス「THEO(テオ)」の利用者募集を始めた。

ロボアド市場は日本でも急拡大中

ロボアドとは、アルゴリズムに基づいて、顧客に適した資産配分(ポートフォリオ)を自動で提案してくれるサービス(アドバイス型)や、さらに提案したポートフォリオに沿って自動で資産運用をしてくれるサービス(投資一任運用型)のことを指す。国内ではこれまでに複数の企業が、アドバイス型で13種類、投資一任運用型で8種類のサービスを展開している。

人件費などの固定費の負担が少ないため、対面型の資産運用アドバイザーよりも安い料金で同様のサービスが受けられるのが特長だ。米国では、投資経験の少ない資産形成層が運用を始める入り口として広く利用されており、将来的に世界の資産運用の1割がロボアド経由になるとの予測もある。

テオは投資一任運用型にあたり、運用資産の1%相当額を年間の報酬として支払えば、世界の約6000種類のETF(上場投資信託)から最適な組み合わせを提案し、自動で運用してくれる。顧客からの預かり資産の総額は足元で約100億円。約200億円のウェルスナビ、約160億円の楽天証券(サービス名「楽ラップ」)に次ぐ、ロボアドの国内3番手だ。

8月24日にはサービスを全面的に刷新。サービス開始時に投じる最低金額を従来の10万円から1万円に引き下げるとともに、リスク許容度などを判定する事前の質問項目を投資初心者にもわかりやすいものへと変更する予定だ。

テオの全面刷新の狙いは、「始めやすく、続けやすい仕組みを作ること」(お金のデザインの北澤直COO)。まず先述の通り、初期投資の金額を引き下げた。

また、開始前の質問項目に関して、以前は元本の安全性や資産が値下がりした際の対応に関する考え方など、初心者には判断が難しいものが多かった。それを今回、現在の年齢や年収、金融資産額などを尋ねるだけの、シンプルな質問に変更。「貯金の預け替え」というイメージを持ってもらい、利用者層の裾野拡大を目指す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:米第1四半期GDPは上方修正の可

ワールド

プーチン氏、5月に訪中 習氏と会談か 5期目大統領

ワールド

仏大統領、欧州防衛の強化求める 「滅亡のリスク」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中