『絞死刑』は大島渚だから撮れた死刑ブラックコメディー
終盤に明らかになるラスボスの存在を、大島組常連の俳優である小松方正が、まさしく全身で体現する。
断言するが、ほかの誰にもこんな映画は撮れない。映画を通して国家権力と闘い続けた大島渚そのもの。でもチームワークの映画でもある。
フィールドワークを終えたゼミ生たちは、死刑制度について悩み始める。賛成と反対が拮抗する。分からなくなりましたと吐息をつく。
うん。それでよい。大切なのは知ること。知って自分で考えること。そして映画は一人一人の思考や煩悶に、とても重要な補助線を提供してくれる。
『絞死刑』(1968年)
監督/大島渚
出演/佐藤慶、渡辺文雄、石堂淑朗、足立正生
<本誌2020年10月27日号掲載>
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
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