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ジェンダー平等という黒船に気付かず日本政治は「ムラ」に閉じこもる

菅内閣発足時の女性閣僚は2人(2020年9月)Yoshikazu Tsuno/Pool-REUTERS
<女性の政治参加で、日本よりも下位の国はカタール、ナイジェリア、オマーン、イラン、ブルネイ、クウェート、イエメン、パプアニューギニア、バヌアツだけ。森元首相の問題発言は、「ムラ」の価値観に閉じこもる日本政治の世界とのズレっぷりを図らずも露呈した>
3月31日、世界経済フォーラムによる恒例の「グローバル・ジェンダーギャップ・リポート2021」が公表された。日本の総合順位は156カ国中120位。今回も安定した低空飛行を続けている日本だが、特に「政治参加」の分野では147位と最下位集団に位置していることが目につく。
日本よりも下位の国は、カタール、ナイジェリア、オマーン、イラン、ブルネイ、クウェート、イエメン、パプアニューギニア、バヌアツだけ。その多くはイスラム教国だ。それぞれの国にはそれぞれの事情があろうが、少なくとも日本は女性の政治参加という点で世界最下位グループにいると考えられていることは意識するべきだろう。
これに対して、政治参加上位3カ国はアイスランド、フィンランド、ノルウェーという北欧諸国。いずれも国のトップは、カトリーン・ヤコブスドッティル首相(45)、サンナ・マリン首相(35)、エルナ・ソルベルグ首相(60)という女性が占めている。
これら世界の女性政治家について、ジェンダー平等の観点から「女性」であることや、(あえて年齢を記したが)政治家としての経験あるいは激務に耐える気力や体力があるかを問う観点から「年齢」が議論となることもある。しかし、そうした実質的な議論と、ジェンダー平等を実現するための営為が積み重なってきた政治的な文脈を無視して、単に「女性だから」とか「年だから」と決めつけるのは次元が全く異なる。
世界には、米国のカマラ・ハリス副大統領(56)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(66)、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(62)、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(40)、デンマークのメッテ・フリデリクセン首相(43)など、老若を問わず多様な、そして実力のある女性政治家がいる。そうした政治家に対して、例えば「女性だからダメだ」というような議論は成り立たない。「メルケルは対中融和路線が見え隠れするのでダメだ」とする批判は政治的議論として成り立つが、「メルケルはダメだ、なぜなら女性だからだ」という批判は公的な議論として成立する余地はない。
ところが、日本で最近問題となったのは、「女性だから」「年だから」という観点からの政治的発言だった。
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