コラム

「メーガン妃、第二子は米国で出産か」報道まで飛び出した英王室のお家事情

2019年11月26日(火)18時10分

英王室の慣習に馴染めないメーガン妃(写真は11月7日、ウェストミンスター寺院にて) Hannah McKay-REUTERS

[ロンドン発]アンドルー王子の未成年者買春疑惑で激震が走る英王室にもう一波乱ありそうな雲行きになってきた。

「メーガン妃はキャサリン妃がいずれ王妃になることに十分気付いている。でも互いに衝突してしまう」。こんな見出しが米娯楽誌ピープルを飾ったのはアンドルー王子が公務を解かれた翌日の21日。

情報源は1人の関係者としか明かされていない。その関係者によると、高齢のエリザベス英女王からチャールズ皇太子への王位継承が迫るにつれ、キャサリン妃とメーガン妃の溝が広がっているという。

「いずれ王妃になるキャサリン妃と、メーガン妃、それぞれの役割は明白だ。メーガン妃はカビ臭さ(古臭い伝統)にフィットしないが、キャサリン妃は手懐(てなず)けられている」

「メーガン妃にはメーガン妃の、キャサリン妃にはキャサリン妃の生き方がある。2人がぶつかり合う時、状況は難しくなる」。この話が本当ならメーガン妃が米メディアにリークしたとしか思えない。

生き馬の目を抜くハリウッドの競争を生き抜いた元米人気女優メーガン妃と、ほとんど社会人経験をせずに王室に嫁いだキャサリン妃の人生観、社会観は異なって当たり前だ。

欧州連合(EU)からの離脱で岐路に立つ英国だが、英王室にとっても今年は、チャールズ皇太子と故ダイアナ妃の別居、長女アン王女の離婚、次男アンドルー王子の別居、ウィンザー城の火災が続いた1992年に匹敵する「ひどい年(アナス・ホリビリス)」になりそうだ。

世論調査会社ユーガブと英大衆日曜紙サン・オン・サンデーのアンケートでは王室の存続を求める声は70%。2015年の前回調査より1ポイント減。チャールズ皇太子への王位継承を望む声は36%で、ウィリアム王子への蛙飛び継承を求める声の41%を下回った。

王族の支持率は次の通り。()内は王室助成金を与えても良いという回答の割合だ。

エリザベス女王 80%(71%)
フィリップ殿下 65%
チャールズ皇太子 47%(夫妻で51%)
カミラ夫人 33%
ウィリアム王子 81%(夫妻で60%)
キャサリン妃 77%
ヘンリー王子 81%(夫妻で38%)
メーガン妃 49%
アン王女 59%(31%)
アンドルー王子 22%(13%)
エドワード王子 35%(16%)

格差が広がるこのご時勢、英社会は王室の存続は望んでも王室助成金の対象となる王族をできるだけ絞ることを求めている。王室を前代未聞の不祥事に巻き込んだアンドルー王子はすぐにでも廃位すべきなのだ。

メーガン妃とヘンリー王子の結婚は英王室にプラスという声は44%。一方、キャサリン妃とウィリアム王子のそれは75%。英国の世論は英王室のプロトコル(伝統や慣習)に合わないメーガン妃に気付いている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story