コラム

秘密のベールに覆われたメーガン妃の男児出産 筆者はこう見る

2019年05月08日(水)09時20分

メーガン妃が無事男の子を出産した後、ウィンザー城で報道陣の前に表れたハリー王子 Steve Parsons/REUTERS

[ロンドン発]待ちに待った英王位継承順位6位のヘンリー王子(34)と元米人気女優メーガン妃(37)の第一子となる男児が6日誕生した。王位継承順位はヘンリー王子に次ぐ第7位。しかし異例ずくめの展開に外国人ジャーナリストとして困惑しなかったと言えばウソになる。

秘密の厚いベールに覆われたメーガン妃の出産予定日は「4月28日」(英大衆紙)と言われていた。それから8日が経過した5月6日午後2時(日本時間同10時)、英王室が「今日の朝早くにメーガン妃の陣痛が始まった。ヘンリー王子はメーガン妃のそばにいる。発表はすぐに行われる」とメディアに一斉メールした。

英24時間TVスカイニューズの王室担当記者の速報がそれより早かった。英BBC放送が王室報道で出し抜かれるのはあってはならないことだ。

ヘンリー王子とメーガン妃は「出産をプライベートにしたい」という希望を表明し、300万ポンド(約4億3600万円)かけて改装したロンドン郊外ウィンザーのフロッグモア・コテージに引きこもった。

56日間も雲隠れ

3月11日、毎年恒例の英連邦記念行事が行われたウェストミンスター寺院に他の王族とともに出席したのを最後に56日間もメーガン妃は公の場から姿を消していた。2人はフロッグモア・コテージに有機農法の菜園をつくり、野菜や果物、ハーブを育てていると英大衆紙は伝えてきた。

英王室の一斉メールから40分後、無料の写真共有アプリ、インスタグラムのアカウントに「男の子でした。6日の早朝に誕生。体重は3260グラム。メーガン妃も赤ちゃんも元気です。喜びを分かち合ってくれる皆さんに感謝します。詳細は数日中に」という投稿があった。

「男の子だ!」(ハリー王子)


このアカウントは英王位継承順位2位ウィリアム王子(36)の妻キャサリン妃(37)のアカウントから分離して特別に開設したものだ。

間もなくヘンリー王子がウィンザー城一帯の王室所有地からスカイニューズの生中継に登場し、「信じられないほどうれしい。妻を心から誇りに思う。これまでに想像したことがないほど素晴らしい経験だった。どのようにして女性が新しい生命を生み出すのか(男性である私の)理解を超えている」と表情を和らげた。

最愛の母ダイアナ元皇太子をスキャンダラスな報道の渦中、突然の交通事故死で失い、精神の平衡を失った辛い経験を持つヘンリー王子。実の父親とその家族から執拗な嫌がらせを受け、保守系大衆紙から「奴隷の子孫と英王子の結婚」とまで叩かれたメーガン妃。

王になる可能性があるのは誰?
プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏、建設労組の支持獲得 再選へ追い風

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設

ワールド

ロシア経済、悲観シナリオでは失速・ルーブル急落も=

ビジネス

ボーイング、7四半期ぶり減収 737事故の影響重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story