コラム

いざなぎ景気を超える好景気と言われるのに、実感が湧かない理由

2017年12月19日(火)13時25分

かなり厳しい話になってしまったが、それほどまでに失われた20年間は大きい。少なくとも、生活実感として豊かさを享受していくためには、他国の平均値以上の成長を実現しないと難しいという結論にならざるを得ない。

だが悪い話ばかりではない。このところAI(人工知能)やシェアリング・エコノミーなど革新的なイノベーションが次々に登場しているが、AIやシェアリング・エコノミーを徹底的に活用すれば、従来ほどリソースを消費しなくても同じ豊かさを享受できる可能性がある。

AI時代やシェアリング・エコノミー時代においては、従来型の社会インフラに投じた資金がムダになる可能性もある。つまり過去20年間で遅れを取ってしまった日本にとっては、それをリセットできるチャンスでもあるのだ。

いざなぎ景気の期間を超えたかどうかを議論するよりも、到来するパラダイムシフトを見据えた上で、今後の経済運営をどう舵取りしていくのかについて考えた方が、おそらく何倍も有益だろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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