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イギリス警察は人種差別主義? データはBLMの主張と矛盾する
こういったデータから読み取れるかぎり、どれか1つの人種に対する警察の扱いが問題だというよりは、精神疾患治療の問題と関わっている。不当で致命的な警察の武力行使が問題になっているわけではなさそうだ。
精神疾患や重度の依存症の人々は自傷行為に走る傾向があり、逮捕に抵抗し続けたり警察に武器を振り回したり警察官を攻撃したり、支援してくれようとするヘルスワーカーを攻撃して結局は警察を呼ばれたりする。言うまでもないが、こうしたケースでは拘束力を行使することが多くなるし、より強力な武力を行使するかもしれないし、複数の警官で対応するかもしれない。
イギリスの黒人が、まぎれもなく不釣り合いな割合で扱われていることを示す数字が1つある。職務質問だ。黒人の若者は、警察に呼びとめられて武器携帯を確認される頻度がずっと高い(白人の約10倍だ)。しかし、黒人は大幅に偏った比率で、都心部の犯罪率の高い地域や、高失業率やドラッグギャングなどの問題を抱える住宅団地などに住んでいる。その事実こそがイギリスの人種差別の証しだという主張もできるだろう。あるいは、警察は最もリスクの高い地域で人々を守るためにより活動を強化しているという見方もできるかもしれない。
都心部貧困地域に住む白人の若い男性が、犯罪率の低い高級住宅街に住む白人(あるいは黒人)男性と比べてどの程度、職務質問を受けているのかというデータに興味があるが、そうしたデータはみつからなかった。
言うまでもなく、法律を順守して生活している黒人が警察に職務質問されるのは気に障るだろうし、それが度重なれば怒りを覚えるだろう。職務質問はその性質上、当たり外れがあるもの。多くの無実の人々が呼びとめられることになるのだ。そして職務質問は、(いつもではないが)ある程度は無作為に行われる。「何となく怪しく見える姿や行動」はどうしても目についてしまうのだ。
だが、職務質問には二律背反の側面もある。若干の武器を押収するため、若干名の武器携行を止めるため、そして暴力行為に及ぶ一握りの人を逮捕・拘束するために、多くの人の気分を害しているかもしれないが、それによって計り知れない数の命を救っていて、その多くが黒人の命なのだ。
職務質問の一層の強化を求めている人々の中には、保守党の次期ロンドン市長選候補者のショーン・ベイリー(ロンドン都心部出身の黒人でもある)や、近年増加しているちゃちな争いに巻き込まれて息子が刺殺されたり、ギャングの「縄張り争い」(「戦争」と称してギャングがライバル地域の若者を無作為に殺害する)で息子を殺害されたりした、悲嘆にくれる家族たちもいる。
もちろん、警察のシステムにはまだ人種差別的な偏りがあると主張することもできるだろうし、犯罪防止のために多くの罪なき人を不快にさせるのはいかがなものかという議論もあるだろう。でも、イギリスの警察は本質的に人種差別主義で、無責任で、罪なき人々にとって脅威であり、資金を停止すべきだ――というブラック・ライブズ・マター運動の極端な主張を、統計が裏付けているなどと主張するのは、合理的ではない。
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