ニュース速報

ワールド

原子力などのグリーン投資認定案、EU専門家委が修正要請

2022年01月25日(火)13時36分

 1月24日、欧州連合(EU)が一部の天然ガスと原子力発電エネルギーを「グリーン投資(サステナブル・ファイナンス・タクソノミー)」に条件付きで含める規則案について、EU諮問専門家グループは、解釈で混乱を引き起こし、投資家向けディスクロージャー(情報開示)の誤りにつながる恐れがあると指摘し、修正を求めた。写真はブリュッセルで昨年7月撮影(2022年 ロイター/Yves Herman)

[ブリュッセル/ロンドン 24日 ロイター] - 欧州連合(EU)が一部の天然ガスと原子力発電エネルギーを「グリーン投資(サステナブル・ファイナンス・タクソノミー)」に条件付きで含める規則案について、EU諮問専門家グループは24日、解釈で混乱を引き起こし、投資家向けディスクロージャー(情報開示)の誤りにつながる恐れがあると指摘し、修正を求めた。

この案には、欧州議会議員や一部加盟国からも反対論が出ている。

専門家グループは答申で、規則案は二酸化炭素(CO2)の排出量が比較的多い天然ガス発電所をサステナブル(持続可能)と評価することになるとし、原発を新規稼働させてもEUの2050年の気候目標を達成するには遅すぎると指摘した。

専門家グループの座長を務めるネーサン・ファビアン氏はロイターに、規則案の影響として「市場は、どの投資が気候目標に整合的か、あるいは非整合的か判断がつかなくなる。金融ディスクロージャーの誤記載につながる」と述べた。

答申は、この案を正式な規則とする場合、企業や金融商品提供者にディスクロージャー上で天然ガスと原子力エネルギーを電動自動車(EV)や風力エネルギーといった他のグリーン投資とは区別して示すことを義務付けるべきと指摘。

持続可能などとうたいながらも、実態はそうでない「グリーンウォッシング」を防ぐためにもディスクロージャーの厳格化が必要とした。

EUのタクソノミーは、グリーンでない資産への投資を禁止するわけでないが、グリーンと分類することで当該資産への投資を促す狙いがある。

ドイツは、原子力エネルギーをグリーンに分類することについて、正式な反論書を提出。他の4カ国も先週反対を表明した。

欧州議会の議員グループは欧州委員会への書簡で懸念を示した。

欧州委員会は今後、最終案を公表する。欧州議会の過半数、あるいは加盟27カ国中20カ国が反対すれば、不成立となる。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中