ニュース速報

ワールド

英総選挙、ジョンソン首相が地滑り的勝利 1月末EU離脱を宣言

2019年12月13日(金)18時07分

 12月13日、ジョンソン英首相(写真)は、総選挙で保守党政府は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の完遂を付託されたと述べ、事実上の勝利宣言を行った。写真はロンドンで撮影(2019年 ロイター/Hannah Mckay)

[アクスブリッジ(英イングランド)/ロンドン 13日 ロイター] - 12日投開票の英総選挙は、ジョンソン首相率いる与党・保守党が単独過半数議席を獲得し地滑り的勝利を収めた。ジョンソン首相は13日、保守党政府は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の完遂を付託されたと勝利宣言、来年1月31日にEUを離脱するとあらためて表明した。

獲得議席は、2議席が未確定の段階で363議席。前回選挙から47議席上積みし、単独過半数に必要な326議席を上回った。

ジョンソン首相は、自身の当選が決定した後「現段階で、保守党政府はブレグジットの完遂という新たな付託を受けたようだ。ブレグジットを成し遂げるだけでなく、国を結束させ前進させることを託された」と述べた。

「今回の選挙は歴史的な選挙になる。新政府は、英国民の民主的意思を尊重し、この国を良い方向に変え、全国民の可能性をひきだす生かす機会を与えられた」と指摘。「それが、われわれがこれから行うことになる。出口調査が示唆する通り、われわれが引き続き政権を運営できるのであれば、それはきょうから始まる」と語った。

その後、支持者に対し「1月31日にEUを離脱する。もしも(if)も、しかし(but)も、たぶん(maybe)もなしだ」と呼びかけた。

<労働党は大敗>

一方、最大野党の労働党は大敗を喫した。獲得議席は203議席と、59議席減らし、1935年以降で最悪の結果となった。

コービン党首の急進的な政策提案は支持を得られず、EU離脱をめぐるあいまいな態度は混乱と怒りを招き、同党の地盤とされる選挙区の多くを保守党に奪われた。

コービン党首は、「非常に失望的な夜」と述べて事実上の敗北を宣言。次の総選挙で同党を率いることはないと表明した。

落選した候補からは「コービン氏はずっと前に辞めるべきだった」といった恨み節が聞かれた。

EU残留を訴える自由民主党の獲得議席は1議席減の11議席。スウィンソン党首は、スコットランド民族党(SNP)候補に敗れた。

一方、EU離脱に反対する地域政党SNPは議席を13議席増やして48議席とした。スタージョン党首は「スコットランドの人々に将来を選択する機会を与えることを委任された」と述べ、スコットランド独立の是非を問う住民投票の再実施に意欲を示した。

「ボリス・ジョンソンは、イングランドのEU離脱を付託されたかもしれないが、スコットランドのEU離脱は付託されていない。スコットランドは自らの将来の選択権を持たなければならない」と語った。

<ポンド急伸>

為替市場では、秩序だったEU離脱はほぼ確実との見方が広がり、ポンドは対ドルで一時19カ月ぶり高値をつけた。

ポンドは対ドルで一時2.5%上昇し1.3516ドルと、2018年5月以来の高値をつけた。

対ユーロでも一時2%超上昇し82.80ペンスと、EU離脱を決定した国民投票の直後となる2016年7月以来の高値をつけた。

IMAXエクスチェンジの通貨ストラテジスト、ジョエル・クルーガー氏は「今後、市場の注目は、将来のEUとの関係に移り、ポンドは1.35─1.37ドルが当面の天井になるだろう」と述べた。

UBPのグローバルFX戦略責任者ピーター・キンセラ氏は、ポンドの上昇は、コービン氏率いる労働党が勝利しない情勢となったこと、与党・保守党の躍進ぶりを好感したと指摘した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相会議、ウクライナ問題協議へ ボレル氏「EU

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要

ビジネス

テスラ、ドイツで派遣社員300人の契約終了 再雇用
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中