ニュース速報

ワールド

EU離脱、将来関係交渉で問題修正可能との考えは「幻想」=前英外相

2018年11月19日(月)09時14分

11月18日、英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、ジョンソン前外相(写真)は、メイ首相が離脱協定に関する問題は将来の関係を巡る交渉の中で修正できるとの考えを示唆したことについて、「悲劇的な幻想」を抱いているか「ごまかそうとしている」と批判した。10月にバーミンガムで撮影(2018年 ロイター/DARREN STAPLES)

[ロンドン 18日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、ジョンソン前外相は、メイ首相が離脱協定に関する問題は将来の関係を巡る交渉の中で修正できるとの考えを示唆したことについて、「悲劇的な幻想」を抱いているか「ごまかそうとしている」と批判した。

メイ首相は18日のインタビューで、EUとの将来関係を巡る概要については交渉が続いていると述べ、将来関係に関する合意で2016年の国民投票に沿う成果を実現するとの考えを示した。

ジョンソン前外相は19日の英紙デイリー・テレグラフに掲載される毎週恒例のコラムで「現在触れ回っているあらゆるうその中で最悪なのは、この合意が次の交渉段階でどうにか修正されるというものだ」とし、「前半終了時点で0対1で負けているサッカー試合のようだと言われているのを耳にしたが、首相はインタビューで述べたように、ここから挽回して英国が望む離脱を実現できるとしている」と指摘。「これは悲劇的な幻想か、だまそうとしているかのどちらかだ。英国は関税同盟離脱に拒否権を発動する権利をEUに与えようとしている」と批判した。

ジョンソン氏は、北アイルランドとアイルランドの間の厳格な国境管理復活を回避するためのバックストップ(安全策)について、英国がEUの「経済・政治的奴隷」として捕らわれた状態になることを意味するとし、破棄すべきだと主張した。

その上で、代替案として、国境ではなく国内で控えめな検査を行う新たな制度について協議すべきだとの考えを示した。

離脱に伴う清算金390億ポンドについては、カナダ方式を発展させた英・EU貿易協定で合意するまで少なくとも半分の支払いを保留すべきだと主張。合意なき離脱への備えを加速する必要があるとも指摘した。

ジョンソン氏は「(ブレグジットは)不可避の惨事ではなく、乗り越えるべき課題として扱う必要がある。なぜなら、短期的な困難を乗り越えれば、雇用や成長、自由貿易協定などの見込みは非常に良好だからだ」と強調した。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、いかなる対イラン作戦にも関与せず 緊張緩和に尽

ワールド

イスラエル巡る調査結果近く公表へ、人権侵害報道受け

ビジネス

利上げの可能性排除せず、経済指標次第=米シカゴ連銀

ビジネス

欧州インフレの軟着陸、可能だが確実ではない=IMF
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中