ニュース速報

ワールド

中国、習主席側近の劉氏を副首相に選出 人民銀総裁に易副総裁昇格

2018年03月19日(月)18時33分

 3月19日、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、国務院(政府)の副首相に習近平国家主席の経済ブレーン、劉鶴氏(写真)を選出した。写真は北京で撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

[北京 19日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は19日、国務院(政府)の副首相に習近平国家主席の経済ブレーン、劉鶴氏を選出した。また、中国人民銀行(中央銀行)総裁には易綱副総裁を昇格させる人事を承認した。

政府は銀行と保険の監督機関を統合し、人民銀を含む政策決定機関の権限を拡大するとともに、新たな省も導入するなど、ここ数年で最大規模の機構改革を進めている。

劉氏は金融安定発展委員会(FSDC)トップとして、金融リスクの回避に向け、規制当局間の協力強化や監督の改善に取り組むとみられる。

1998年から2003年まで首相を務めた朱鎔基氏と同様の役割を担う可能性がある。朱氏は1993年から95年まで副首相と人民銀総裁を兼任し、ハイパーインフレと経済の混乱に強い姿勢で臨んだ。

劉氏(66)は習主席の信認が厚く、経済問題に精通。中央政界で脚光を浴びるようになった。同氏は昨年10月に25人の政治局委員の一人に選ばれた。習氏が推し進める供給面の改革の立案者とみられている。

1995年に米ハーバード大学の公共政策大学院ケネディスクールで修士号を取得。流ちょうな英語を操る。

同氏はこれまで、党中央財経指導小組弁公室主任と国家発展改革委員会(NDRC)の副主任を務めてきた。

人民銀総裁に昇格した易副総裁(60)は2008年から同職を務めてきた。15年の人民元切り下げを含む金融・通貨政策で主要な役割を担ってきたと考えられている。また、同氏の総裁就任により政策の継続性が確保されるとみられる。

易氏は記者団に「穏健な金融政策を実施し、金融部門の改革と開放を進め、同部門の安定を保つことが現在の主要な課題だ」と述べた。

ただ、一部のエコノミストによると、易氏は周小川総裁ほど影響力が大きくないと考えられており、劉氏が経済・金融部門全体を監督するなか、補佐的役割に回る可能性がある。

OCBC銀行(シンガポール)のエコノミスト、トミー・シエ氏は「率直に言って、(易氏の指名は)やや想定外だった。共産党中央委員会の委員候補として比較的低い地位にあるからだ」と指摘。

「影響について言えば、易氏は劉鶴氏が経済改革を主導するのをサポートする見通しのため、政策の継続性を見込む。両氏ともにここ数年間の改革をけん引してきた」と分析した。

易氏も米国留学組で、イリノイ大学で経済学の博士号を取得している。2009年から16年まで中国国家外為管理局(SAFE)の局長を務めた。

OCBCのシエ氏は、易氏の経歴と改革派としての評判を踏まえれば、同氏の総裁昇格は外為市場に良いニュースとの見方を示した。

全人代はまた、新財政相に劉昆・全人代予算工作委員会主任を選出。肖捷氏の後任となる。*内容を追加しました。

鍾山商務相と国家発展改革委員会主任の何立峰氏は再任した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中