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米失業保険申請、10週連続で200万件超 コロナからの回復緩慢か

2020年05月29日(金)03時07分

米労働省が28日発表した23日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は212万3000件となった。写真はアーカンソー州フォートスミスで失業保険申請に並ぶ市民ら。4月撮影(2019年 ロイター/NICK OXFORD)

[ワシントン 28日 ロイター] - 米労働省が28日発表した23日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は212万3000件となった。前週の244万6000件(改定)からは鈍化したものの、10週連続で200万件を上回り、経済活動の一部再開後も新型コロナウイルス流行の影響が続いていることが鮮明となった。

ロイターのまとめたアナリスト予想は210万件だった。

ナロフ・エコノミクスの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「民間企業でのレイオフ第2弾や公務員の削減で失業者が増加していることを懸念する」とし、「経済再開ペースを踏まえると、桁外れに高い失業率が長期間続く可能性があり、景気回復は緩慢なペースとなり、長い時間を要するだろう」と述べた。

米航空機大手ボーイングは前日、国内で計1万2000人以上の雇用を削減すると発表し、民間企業のレイオフ第2弾がより深刻なる可能性もある。

3月21日以降の失業保険申請件数は4000万件を突破した。しかし、申請が承認されていないケースに加え、新型コロナ流行が理由でない失業やすでに再就職した人たちが含まれる可能性があるため、実情を反映しているかどうかについてエコノミストは慎重な見方を示している。

申請件数は3月28日終了週に過去最悪の686万7000件を記録した。

MUFG(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「ロックダウン(都市封鎖)などの措置が実施され始めた3月中旬以降の10週間の申請件数は、米国が受けた衝撃に加え、米経済に対する長期的なダメージの大きさを物語っている」と述べた。

16日終了週の失業保険受給総数は2105万2000件と、過去最高となった前週の2491万2000件から減少した。減少はフロリダ州、カリフォルニア州、ワシントン州、オハイオ州に集中していた。

16日終了週は5月の米雇用統計の調査期間に含まれる。失業保険受給総数は同調査期間中増加しており、5月の失業率が前月からさらに悪化する可能性を示唆した。

自営業者や単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」などに適用されるパンデミック失業支援(PUA)の先週の申請件数は119万3000件。9日終了週には779万3000件の申請が処理されている。この数字などを含めると、5月初旬の段階で3100万人が何らかの失業保険を受けていたことになる。

4月の米雇用統計では失業率が14.7%と、第2次世界対戦後に記録した1982年11月の10.8%を上回り、戦後最悪となった。

*内容を追加しました。

ロイター
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