ニュース速報

ビジネス

米雇用統計、11月26.6万人増 予想上回る 失業率3.5%に改善

2019年12月07日(土)06時32分

米労働省が6日発表した11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から26万6000人増と予想の18万人を超えて増加し、伸びは10カ月ぶりの大きさになった。ロサンゼルスでの就職フェアのもよう。昨年撮影(2019年 ロイター/Monica Almeida)

[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日発表した11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から26万6000人増と予想の18万人を超えて増加し、伸びは10カ月ぶりの大きさになった。製造業部門の低迷が続く中でも米経済が緩やかな成長を続けていることが示された。

9月と10月の雇用者数は合わせて4万1000人、上方改定された。

労働市場に参入する人が減る中、失業率は3.5%と、10月の3.6%から低下し、約半世紀ぶりの低水準を回復した。予想は3.6%だった。現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は6.9%と、10月の7.0%から低下した。

労働参加率は63.2%と、約6年ぶりの高水準だった10月の63.3%からやや低下した。

時間当たり平均賃金は0.2%(7セント)増。10月は0.4%増だった。11月の前年同月比は3.1%増加した。10月は3.2%増だった。

賃金の伸びが緩やかだった理由は、11月の雇用が主に低賃金とされるヘルスケアと娯楽部門で増加したため。生産部門と非管理職の平均時間給は0.3%増、前年同月比では3.7%増だった。

フィッチ・レーティングスのチーフエコノミスト、ブライアン・クルトン氏は「消費者部門とサービス部門は引き続き、外的リスクやそれに関連する国内製造業の低迷による経済への衝撃を和らげる役割をしっかり果たしている」と述べた。

11月は、ストライキを起こした自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の従業員約4万6000人が仕事に戻ったことが一因で、製造業が5万4000人増と大幅に伸びた。GMのストライキが影響して10月の全体の雇用者数は15万6000人増にとどまった。11月は、ヘルスケア部門も6万0200人増と好調に伸びた。

GMのスト終結の影響を除いても11月の雇用伸びが20万人を超えたことで、開始から1年5カ月が経過している米中貿易戦争の影響で製造業部門が痛手を受けているものの、より広範な経済には波及していないことが示された。

一部エコノミストは、トランプ政権が中国との「第1段階」の通商合意を交渉するための時間的な余裕を確保したと指摘。グラスドア(サンフランシスコ)のシニアエコノミスト、ダニエル・ザオ氏は「今回の雇用統計で対中交渉を進めるトランプ政権に対する圧力が軽減した」とし、「一段と強硬路線をとる余地が生まれた」と述べた。

一方、スタイフェル(シカゴ)の主席エコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は「今回の雇用統計では明らかな改善が示されたものの、過去10カ月間にわたる失速について何も説明するものではなかった」と指摘。「一段と堅調な雇用パターンに向けた転換点になるのか見極める必要がある」と述べた。

統計は米連邦準備理事会(FRB)による10月の政策決定が正当だったことを示す内容だ。FRBは今年3度目となる利下げを決めたが、7月以降続けていた利下げ政策を休止することを示唆した。FRBは12月10―11日の会合で経済の底堅さを強調するとみられる。

FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏は「力強い内容だ。雇用者数は堅調に伸び、失業率はさらに改善、時間給の上昇もまずまずだった」とし、FRBは利下げ休止が正しかったことを証明する内容とみるだろうと述べた。

貿易赤字や住宅市場、耐久財受注の最近の統計は比較的好調さが続く。ただ、貿易摩擦が依然として経済のリスク要因となっている。製造業活動は4カ月連続で低迷。製造業の弱さは17カ月間続いている米中貿易摩擦によって景況感が悪化し、設備投資が低下しているためとみられている。米中は「第1段階」の合意に取り組んでいるものの、米国はブラジルやアルゼンチン、フランスなどの貿易相手国との緊張を高めるような動きに出ている。トランプ米大統領は5日、中国との協議は「うまくいっている」と発言した。

第4・四半期国内総生産(GDP)予測は年率で約1.8%増。第3・四半期GDPは2.1%増加した。エコノミストは、物価の急上昇を引き起こさずに長期的に成長できる水準を1.7―2.0%と試算している。

設備投資が低迷する中でも労働市場は底堅さを保っているが、雇用のペースは昨年から減速している。昨年の雇用の伸びは月々平均で22万3000人増だった。今年の月々平均は18万人増。今年は需要の鈍化と労働力不足が抑制要因になっている。労働省は13日に公表する雇用統計の年次改定で、19年3月までの12カ月間の雇用の伸びを最低50万人分下方改定する可能性があるとしている。

ただ雇用の伸びは依然として、労働年齢人口の伸びを維持するのに必要な約10万人を上回っている。

部門別ではレジャー・接客業が4万5000人増。過去4カ月では合計21万9000人増加し、このうち約3分の2がレストランなどの飲食店での増加だった。

雇用は専門職・企業サービス、金融、運輸、倉庫などの部門でも増加。政府部門は1万2000人増加した。

一方、鉱業は7000人減。11月は例年より気温が低く、建設業や鉱業の雇用が抑制された。建設業の雇用者数は1000人増にとどまった。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ワールド

中国で輸入冷凍食品から新型コロナウイルス、一部が輸

ワールド

中国、国内向けマカオ観光ビザ発給9月に再開 カジノ

ビジネス

中国新規融資、7月は9927億元に減少 予想も下回

ワールド

ロシア、新型コロナワクチン認可 世界初

MAGAZINE

特集:人生を変えた55冊

2020-8・11号(8/ 4発売)

コロナ自粛の夏休みは読書で自分を高めるチャンス──世界と日本の著名人が教える「価値観を揺さぶられた本

※次号は8/18(火)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 2

    日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い面もある

  • 3

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはなぜか?

  • 4

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは.....…

  • 5

    日本は事実上の「学生ローン」を貸与型の「奨学金」…

  • 6

    モーリシャスが環境緊急事態宣言 日本船の燃料流出…

  • 7

    米大統領選、バイデン勝利率は65% ここにきてトラン…

  • 8

    「私は恵まれていたが、ディケンズで社会の不平等を…

  • 9

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 10

    韓国サムスン、インドのスマホ市場で巻き返し 反中…

  • 1

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 2

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 3

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 4

    『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

  • 5

    K-POPも韓流ドラマも実は世界で売れていない? 韓国…

  • 6

    陽性者急増、名古屋の医師が懸念する「市中感染」の…

  • 7

    再開は早過ぎた?クルーズ船でクラスター発生、寄港…

  • 8

    【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に…

  • 9

    地球上で最も天体観測に適した場所が特定される──し…

  • 10

    中国に「無関心で甘い」でいられる時代は終わった

  • 1

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 2

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 3

    中国・長江流域、豪雨で氾濫警報 三峡ダムは警戒水位3.5m超える

  • 4

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている.....…

  • 5

    韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット …

  • 6

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 7

    宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽…

  • 8

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階…

  • 9

    戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路

  • 10

    中国のスーパースプレッダー、エレベーターに一度乗…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!