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イタリア内閣、19年予算案承認 赤字拡大巡りEUが審査へ

2018年10月16日(火)08時29分

 10月15日、イタリアのコンテ首相(写真)は、内閣が2019年の予算案を承認したことを明らかにした。6月撮影(2018年 ロイター/Eric Vidal/File Photo)

[ローマ 15日 ロイター] - イタリアのコンテ首相は15日、内閣が2019年の予算案を承認したことを明らかにした。社会福祉支出を拡大し、退職年齢を引き下げるほか、財政赤字を拡大させる内容で、欧州連合(EU)の財政規律に違反するかどうかを巡り今後審査が行われる。

イタリア政府は予算案の枠組みとなる経済財政文書を既に公表しており、来年の財政赤字目標は対国内総生産(GDP)比2.4%とした。

財政赤字の対GDP比率はEUが定める3%以内に収まっているが、今年の目標である1.8%からは大幅な拡大となることから、EUがイタリアなど高債務国に求めている段階的な赤字削減に逆行する。

欧州委員会は今後2週間で予算の枠組みを精査する。委員会はこれを拒否し、イタリアに新たな枠組みの策定を求める可能性もある。

イタリア政府は、国内の成長押し上げや貧困の拡大阻止には大規模な歳出が必要だとして引き下がらない構えを示している。

コンテ首相は記者団に対し、予算の枠組みが欧州委員会に送付されたとし、「予算案は政府の確約を守ると同時に公的財政の秩序も維持する内容だ」と述べた。

予算には低所得層への最低所得保障(ベーシックインカム)や退職年齢の引き下げ、自営業者向け減税などが盛り込まれた。ディマイオ副首相によると、低所得層への最低所得保障は第1・四半期に開始する。

欧州委は予算案によって同国の公的債務が拡大するとみており、景気拡大によって債務の対GDP比率は低下するとのイタリア政府の主張に否定的な見方を示している。

トリア経済・財務相は、景気減速に対応するため歳出拡大が必要であることを欧州委に説明する自信があるとし、2.4%の赤字目標は「標準的だ」と発言。「この予算案によって欧州が崩壊する可能性があるとの見方は全く根拠がない」と述べた。また、議会が予算を承認した後に辞任するとの報道を否定した。

*内容を追加します。

ロイター
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