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ユーロ圏総合PMI速報値、6月は54.8に加速 製造業は鈍化
[22日 ロイター] - IHSマークイットが22日発表した6月のユーロ圏総合PMI速報値は54.8と、前月の54.1から上昇し、市場予想を上回った。サービス部門が好調だったが、貿易摩擦に対する懸念から、製造業は18カ月ぶりの低い伸びとなった。
ロイターがまとめた総合PMIの予想は53.9だった。50が景況拡大と悪化の分かれ目となる。
同指数を構成する生産価格指数は4カ月ぶり高水準の53.8となり、前月の53.2から上昇した。
IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「6月はサービス部門の活動が改善したことで、製造業の低迷を補完し、5月のPMIに見られた18カ月ぶりの低い伸びから回復した」と指摘。「価格圧力も再び強まっており、7年ぶり高水準に近づいている。石油や原材料価格の上昇でコストが増大したが、賃金も上昇した。域内の一部で労働市場が引き締まっていることが一因だ」との見方を示した。
今回のPMIによると、第2・四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.5%増になると推測される。この伸びは前月のロイター調査による予想の0.6%を下回るが、第1・四半期の実績である0.4%は上回っている。
6月のサービス部門PMI速報値は55.0と、5月の53.8から加速した。ロイターのまとめた市場予想の53.7も上回った。
サービス企業の間で楽観的な見方も広がっており、採用は10年ぶりのペースで増加。雇用指数は55.2と、2007年後半以来の高水準だった5月の53.9から上昇した。
ただ、製造業の成長は鈍化しており、貿易摩擦を巡る懸念が広がっていることが一因とみられる。6月の製造業PMI速報値は55.0と、18カ月ぶり低水準。5月の55.5から低下した。
製造業生産指数は19カ月ぶり低水準の54.3と、5月の54.8から低下。新規受注は22カ月ぶり低水準の53.3と、5月の54.2から低下した。
マークイットのウィリアムソン氏は「製造業は今後一段と鈍化するようだ。貿易問題や政治的不透明性を企業は最大の懸念として挙げている。製造業の今後1年のセンチメントは2015年以来の低水準となった」と述べた。
アナリストは今回の統計全般について、良い方向に向かっているが、最近の減速傾向に歯止めがかかったと断定することはできないと指摘。統計発表後のユーロの値動きも限定的だった。
INGのシニアエコノミスト、Bert Colijn氏は「PMIの上昇は、カレンダー効果で5月の減速が増幅されていた可能性を示しているが、軟調な局面が終わったことを示す証拠はあまりない」と指摘。「素晴らしい結果とは言えないが、ユーロ圏では予想を下回る指標が相次いでいたため、明るい兆しとはなった」と述べた。
キャピタル・エコノミクスの欧州エコノミスト、ジェシカ・ヒンズ氏は「総じてみると今日の統計は欧州中銀(ECB)による年内の量的緩和終了を再確認するものとなった」と述べた。
*内容を追加します。
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