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アングル:米株市場、長期金利への反応に変化 一部に楽観論
2月15日、米国株式市場は、長期金利(米10年国債利回り)に対する反応が変わりつつある。写真はニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Lucas Jackson)
[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米国株式市場は、長期金利(米10年国債利回り)に対する反応が変わりつつある。1月雇用統計で賃金の伸びが高まってインフレ懸念が広がったことを背景に長期金利が高騰した先週は、株式市場を動揺させて幅広い売りをもたらした。
しかし今週は、長期金利が4年ぶり高水準近辺にとどまっているにもかかわらず、株価は堅調だ。
14日には1月消費者物価指数(CPI)前月比上昇率が予想を上回り、長期金利が2.84%から2.91%まで上がったものの、S&P総合500種は1.3%高で引けた。
こうした状況から一部の投資家が楽観姿勢を取り戻した。彼らは、長期金利がまた急上昇すればさらなる株安につながるリスクは残ると認めながらも、経済の先行きの明るさが株価のプラスに働くと考えている。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのグローバル資産配分戦略責任者トレーシー・マクミリオン氏は「利回りが上がっていても、株式市場は引き続き、今年初めに目にされた世界的な成長に関連した前向きの流れに沿って動いているように見受けられる」と話した。
アルビオン・ファイナンシャルのジェーソン・ウェア最高投資責任者は「株式市場はこの(利回り上昇)に見合う水準訂正が必要だったが、今は『これで問題ない。(相場上昇の)ゲームは続いている』というのが株式市場の声だ」と指摘。自身は依然として債券より株式の投資が妙味があると判断しており「まだ考えるまでもなく分かり切った話だ。株式の総リターンは、債券で得られるわずかな収入よりもずっと魅力がある」と言い切る。
「株価の反転上昇は上向いている経済と関係している側面がより強まり、利回り環境への関心が薄れてきているからだと思う」と話したのは、スレートストーン・ウエルスの最高投資ストラテジスト兼シニアポートフォリオマネジャーのロバート・パブリック氏だ。
パブリック氏によると、株式市場は景気拡大に目を転じており、経済状態が金利動向を過度に心配しなければならないほど過熱していない事態に安心しているという。
マクミリオン氏とパブリック氏は、金融や一般消費財といった景気拡大局面で値動きが良いセクターを選好している。
ベアードの投資ストラテジスト、ウィリー・デルウィシュ氏は「経済成長が加速するなら、利回り上昇にうまく対応して景気を損なわないはずだ」と述べ、金利面で最も大きなリスクは特定の水準に達することではなく、市場が想定しないほど急ピッチで上がることだと付け加えた。
それでもジェームズ・バランスト・ゴールデン・レインボー・ファンドのポートフォリオマネジャー、ブライアン・シェパードソン氏は、長期金利が3%を突破すれば、株式投資家にとってそれなりの懸念材料になりかねないと警戒する。
シェパードソン氏は「長期金利上昇が今回の株安の原因であるなら、不安は残っている。市場には基本的に何の変化も起きていない」と強調した。
(Lewis Krauskopf記者)