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ワクチン世界最速のイスラエル、ユダヤ人ジョークに見るその国民性

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN
<ユダヤ人が1948年に建国し、コロナワクチン接種で今、国際的な注目を集めるイスラエル。ジョークの世界では、欧米人が抱く「ユダヤ人観」が反映されている>
【捜索の結果】
ある日、アメリカのとあるユダヤ人コミュニティーで発行されている新聞に、小さな広告が出た。
「先日、私は町の外れで財布を落としてしまいました。もし見つけていただければ、謝礼は致します」
彼が財布を落としたとされるその場所は、今では「グランドキャニオン」と呼ばれている。
新型コロナウイルスのワクチン接種を世界最速のペースで進め、国際的な注目を集めるイスラエル。ヘブライ語で「神が支配する」を表すこの国は、第2次大戦後の1948年にユダヤ人によって建国された。
私は2度、イスラエルを訪れたことがある。1度目は2002年、隣国ヨルダンからの陸路であった。
ヨルダンの首都アンマンから乗ったバスは無事に国境に到着。しかし、イスラエル側の入国審査には、2時間ほど時間がかかった。
アンマンの市場で買ったモスク(イスラム礼拝所)の形をした目覚まし時計(セットした時間になるとアザーン〔イスラム教における礼拝への呼び掛け〕が流れるお気に入り)は、無残にも分解されて壊れてしまった。「時限爆弾」と疑われたようであった。
パスポートに入国スタンプを押されてしまうと、周辺のいくつかのアラブ諸国に入国できなくなってしまうため、別紙に押印してもらう。入国審査所には若い女性の係員や兵士が多かったが、無理やり明るい雰囲気を演出しているように見えた。
2009年、2度目のイスラエル入国は、テルアビブの空港からだった。大半の乗客はすんなりと審査を通過していたが、私は別室に連れられ、荷物を細かくチェックされた。
「そのヒゲは何だ?」
と聞かれたが、何だと言われても答えようがない。かなりの難問であった。
ユダヤ人はジョークの世界では「商売上手」「したたか」、そして冒頭の引用どおり「お金に執着する」といった配役で登場する。これは主に欧米人が抱く「ユダヤ人観」が濃厚に反映された結果と言えるだろう。
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