中国覇権の一助になってもRCEP参加がアジア諸国にとって賢明な訳
RCEPには経済効果も期待できる。ピーターソン国際経済研究所の推計によれば、15カ国の参加国間の貿易額は、2030年までに4280億ドル増加するという。しかし、最も見過ごせないのは、地政学的な意味合いだ。RCEPは、いくつかの大国がそれぞれの影響力圏を保持するという新しい世界秩序への転換を加速させるだろう。それに伴い、WTOを中心とする国際貿易体制など、グローバルな国際体制はますます衰退することになる。
筋金入りの国際主義者であるジョー・バイデン前副大統領は、大統領に就任した後、アメリカのアジアへの関与を復活させようとすると思われるが、トランプ以前の状態に戻すことはかなり難しい。RCEPへの参加が日本にとって賢明な選択であることは間違いない。しかしこの協定は、中国のアジア覇権を構成する一要素という性格も持っているのだ。
<2020年12月1日号掲載>
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