アステイオン

座談会

総合雑誌から新書、そしてネットフリックスへ──拡大し続ける「論壇」

2022年01月21日(金)15時50分
大内悟史+小林佑基+鈴木英生+田所昌幸+武田 徹(※アステイオン95より転載)

WEBアステイオン編集部


<「論壇」とは何か、どのような読者を想定しているのか。論壇誌『アステイオン』95号は「アカデミック・ジャーナリズム」特集。朝日、読売、毎日の論壇担当記者が集まった同特集の座談会「知のアリーナを支える――論壇記者座談会」を全文転載する(本記事は前編)>


※この座談会は、『アステイオン』編集委員会委員長の田所昌幸氏と「アカデミック・ジャーナリズム」特集責任編集者の武田徹氏が各新聞社の論壇担当記者と行ったもの。

※転載にあたり一部改変している。

「論壇」、そして「論壇記者」とは何か?

■田所 早速ですが、我々がジャーナリストにインタビューを受けることはよくあっても、その逆はあまりありません。まずは自己紹介と論壇を担当されてきた記者としてのキャリアをおうかがいできますでしょうか。

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大内悟史(Satoshi Ouchi)/1973年生まれ。朝日新聞社の東京本社文化くらし報道部記者(論壇担当)。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。1999年朝日新聞社入社。出版局週刊百科編集部、論座編集部、報道局「WEBRONZA」(ウェブロンザ)、静岡総局などを経て、現職。

■大内 朝日新聞社の東京本社文化くらし報道部の大内悟史です。各社で文化部や学芸部などと呼ばれる文化的なことを扱う部署で論壇担当をしています。社会人歴は丸22年になりますが、新聞記者歴は丸7年で、論壇担当はまだ4年目です。ですから読売新聞の小林さん、毎日新聞の鈴木さんは大先輩で、仰ぎ見る存在です。

記者職以外では、社内の出版部門で長く雑誌編集者をしていました。月刊誌時代の『論座』では、フリーライターの赤木智弘さんの「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」(2007年1月号)を担当し、2010年には後継の課金サイトの立ち上げにも関わりました。ですので、キャリアの半分ほどは論壇に関わる仕事をしてきました。

近年は昨年度までの津田大介さん、今年度の林香里さんの「論壇時評」の事務局で担当編集者をしながら、研究者の取材や本の著者インタビューなど、自分で記事を書く仕事もしています。また、朝日賞、大佛次郎論壇賞の仕事も一部担当しています。

■小林 読売新聞社東京本社文化部の小林佑基です。2001年入社後は地方支局で警察担当などをしていましたが、2012年から3年ほど文化部で論壇担当を経験し、社会部を一年挟み、2016年夏から再び文化部に戻って「論壇月評」を担当しています。現在、論壇担当記者は部内で2人です。記者が月評を書く点が朝日さんや毎日さんと異なるところです。

■鈴木 毎日新聞社オピニオングループの鈴木英生と申します。入社6年目だった2005年10月から論壇担当をしており、2012年4月から三年間大阪へ異動していた間を含めて、約12年半ほぼ論壇担当をしました。「雑誌を読む」とか、「時を読む」とか、「持論フォーラム」とか、名称は何度も変わりましたが、いわゆる「論壇時評欄」を担当してきました。

現在の「専門記者」という肩書きは、他社では「編集委員」に相当する役職になります。オピニオン面の「論点」で、主には3人の方に1つのテーマについて語ってもらう欄を担当しております。

以前は、デビューしたての中島岳志さんをホスト役にして、西部邁さんをお呼びしたり、反貧困がテーマになり始めた頃の雨宮処凛さんをお呼びしたり、約3年半の対談を担当しました。大内さんが赤木智弘さんの担当をされた同時期に、雨宮処凛さんと高橋源一郎さんの対談を手がけたことで蟹工船ブームが起きたのは印象深い仕事の1つです。

また近年、明治学院大学社会学部の選択必修科目になっている「表現法演習」という授業で、新聞記事の読み方や短い文章のまとめ方なども教えております。

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